返還保険料とは読んで字のごとく、一度支払った保険料が返ってくるものを指します。
つまりお金が手元に戻ってくるわけですから、これはうれしいことですよね。
お金が返ってくるのは、その保険契約を途中解約するとき。
保険を途中で中止するのですから、保険料が返ってくるのは当然と思われるかもしれません。
しかし制度をよく知っておかなければ、返還保険料が思ったより少なかったり、ゼロになったりするケースも!そこで今回は、自動車保険の解約時に知っておきたい返還保険料仕組みを丁寧に解説。
また自動車保険の解約時に併せて気を付けておきたいことについてもお伝えしていきます。
返還保険料とは?

自動車保険を解約すると、保険料が返ってくる
自動車保険を中途解約することはそうあるものではないとお考えの方もおられるかもしれませんが、決してそうではありません。
加入している自動車保険を解約するパターンとして、以下の場合が考えられます。
- 現在所有している自動車を買い替える、または手放そうとしている
- 所有している自動車にトラブルがあり、廃車になってしまう
- 転職先で団体扱いのものに加入し直すなど、より良いと思われる自動車保険に乗り換える
前二者については、予期できないことですよね。
そういったことが起こった場合、加入している自動車保険の残りの期間分の補償は、不必要になってしまいます。
不必要な補償のために保険料を払うのは、どう考えても勿体ないことです。
特に1年契約で保険料を年払いにしている場合には、何か月分もの不必要な補償がのために、保険料を前払いで支払ってしまったという状態になります。
こういったときに、まだ消化していない補償の分の保険料を返還してもらうのが、返還保険料なのです。
短期率に注意!
しかし消化していない期間の保険料をそのままの割合で返還してもらえるのかというと、実はそうではありません。
多くの損害保険会社では、短期料率(短期率)という制度を採用しているからです。
短期料率は、次の表のように定められています。
期間 | ~7日 | ~15日 | ~1ヶ月 | ~2ヶ月 | ~3ヶ月 | ~4ヶ月 | ~5ヶ月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
短期料率 | 10% | 15% | 25% | 35% | 45% | 55% | 65% |
期間 | ~7日 | ~15日 | ~1ヶ月 | ~2ヶ月 | ~3ヶ月 | ~4ヶ月 | ~5ヶ月 |
短期料率 | 70% | 75% | 80% | 85% | 90% | 95% | 100% |
具体例を挙げると、1年契約で保険料4万円の自動車保険を契約しており、ちょうど半分の6か月で中途解約するとしましょう。
単純に考えれば、4万円×6か月÷12か月=2万円の返還保険料を受け取ることができそうですよね。
しかし6か月の場合の短期料率は上の表では70%になっているので、そうはいきません。
実際に受け取れる返還保険料は、4万円×(100-70)%=1万2000円となるのです。
その差額は8,000円にもなるのですから、これは大きいですね。
これは、中途解約による事務手数料などの経費を、保険会社ではなく中途解約する側に負わせるための制度だと考えられます。
ですから、中途解約が早ければ早いほど(たった7日間だけでも10%も!)高い短期料率が定められているのでしょう。
月払いの場合は短期料率が適用されない
自動車保険を年払いにしていて途中解約する場合には、以上のように契約者に負担が多い短期料率が適用されます。
それでは、月払いの場合にはどうなるのでしょうか?
実は、月払いで中途解約する場合にはそれ以後の保険料支払いが不要になるだけで、短期料率のような制度はありません。
そう考えると自動車保険は年払いよりも月払いにしておいた方が有利な気にもなりますよね。
しかし通常、そもそもの保険料は月払いよりも年払いの方が割安に設定されています。
それに中途解約をしなければならない事態というのは、予期できないことがほとんどでした。
となれば、やはり年払いを選ぶことが多いはず。
だからこそ、返還保険料や短期料率といった制度を知っておくことが、役に立つはずなのです。
解約だけではなく、契約変更でも返還保険料があることも
この返還保険料は、中途解約だけではなく、契約変更の場合にも適用されます。
- 20歳の子どもが独立したために、その自動車の運転者年齢がぐんと上がる場合
- マイカー通勤していたが、退職したために運転する頻度がぐんと下がる場合
契約期間中にこのような場合が生じたなら、契約変更によって以後の保険料は下がることになりますよね。
その保険料の差額分が、返還保険料として返ってくるのです。
もちろん短期料率が適用されますので、留意しておきましょう。
自動車保険の解約時には「中断証明書」も忘れずに!

中断証明書で等級が引き継げる
ところで自動車保険に加入し直すならともかく、自動車を手放すときなど自動車保険を解約して新たな自動車保険に加入しない場合には、ぜひとも中断証明書を取得しておきましょう。
中断証明書とは、過去に自動車保険に加入していたことを証明する書類で、最後にどの等級であったかが明記されているものです。
そのため、再び自動車保険に加入するときにこの中断証明書を提示すれば過去の等級が引き継がれ、まったくの新加入よりも保険料が割安になるのです。
中断証明書の効力は10年間も続く
中断証明書は、最長で10年間効力を持ち続けます。
10年後の人生なんて、予定通りに進んでいることの方が稀ではないでしょうか。
ですから、もし金輪際運転はしないという方でも、中断証明書を受け取ることだけはしておいても損はないと思われます。
なお再び自動車保険に加入するときには、中断証明書の有効期間であることはもちろん、その新しい自動車を入手して1年以内でなければならないので、注意しておきましょう。
中断証明書を受け取るのは簡単
中断証明書を取得するのは、いたって簡単な手続きだけで済みます。
保険契約中の損害保険会社に、自動車を手放した(車検切れや盗難も含む)ことを証明できる書類などを送付して、中断証明書発行依頼書を受け取ります。自動車を手放したことを証明する書類などとは、売買契約書や自動車検査証、盗難なら警察署への届出番号になります。
中断証明書発行依頼書を受け取れば、あとは記入して損害保険会社に返送するだけで、中断証明書が取得できます。